研究概要 |
本研究は,強磁性形状記憶合金と100℃以上で作動する高温形状記憶合金の組成最適化と種々の形状のデバイスサイズ単結晶育成プロセスを構築することを最終目的とする.このために,各種変態点の組成依存性と融点,分配係数のなどの凝固特性を系統的に調査し,良好な単結晶を得るための条件を確立するとともに作製した結晶の特性評価を行っている.本年度は,Ni_<50>Fe_<17>Ga_<27>Co_6およびNi_<49>Fe_<18>Ga_<27>Co_6合金の単結晶ワイヤーを作製しに及ぼす,引下げ速度の影響について調査を行った.その結果,最速で10mm/minの速度で引き下げることに成功した.また,引下げ速度を早くするほど,溶質の有効分配係数は1に近づき,マクロ偏析が小さくなることが明らかとなった.このことは,単結晶を効率よく製造できることを示しており,マイクロPD法が磁性形状記憶合金の単結晶ワイヤー作製に有効であることが明らかとなった. また,高温形状記憶合金を探索する目的で,Ni-fe-Ga系およびNi-Co-Ga系において,逆変態温度が100℃を越える組成領域を明らかにした.これらの合金は,自動車用デバイスとして応用可能な高温形状記憶合金として期待できる.
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