研究概要 |
高炉内反応でNbおよびVの全量を溶銑に含ませる研究を行った。 (1) 炭化物として逸失しないための溶銑中NbおよびV溶解度測定 レーザー顕微鏡に附属した赤外線急速加熱装置を用いて、Ar雰囲気中1400〜1650℃において黒鉛るつぼ中で炭素飽和溶鉄とNb, Vの各炭化物を平衡させ, 所定時間後にHeガスを吹き付けて急冷した。得られたメタル試料中のNb, V濃度を分析することによりNb, Vの各溶解度の温度依存性を調べた。比較のために、炭化物生成が起こりやすいTiについても実験を行った。その結果、NbC、VCまたはTiCと平衡する炭素飽和溶鉄中Nb、VまたはTi濃度の温度依存性はlog[mass%Nb]=-4010/T+2.51 log[mass%V]=-4251/+3.86 log[mass%Ti]=-6800/T+3.98と表された。この結果、鉄鉱石中に含まれるNb、VまたはTi酸化物の全量が炭素によって還元され溶銑中に取り込まれたとしても、それらの炭化物生成は無視できることが明らかとなった。 (2) 溶銑/高炉スラグ間のNbおよびV分配 1400〜1500℃において黒鉛るつぼ中で炭素飽和溶鉄とNb_2O_5酸化物を含む高炉系スラグ(CaO-SiO_2-Al_2O_3-MgO系スラグ)を反応させ, 所定時間後にるつぼごと取り出して急冷した。得られたメタル試料およびスラグ試料中のNb濃度を分析することにより, スラグ/炭素飽和溶鉄間のNb分配比の経時変化を調べた。また、実験温度に3時間保持することにより、スラグ/炭素飽和溶鉄間のNb分配比の平衡値を求めた。その結果、1400℃においてスラグ中のNb_2O_5は速やかに炭素飽和溶鉄によって還元され、Nb分配比は1時間で平衡値(=0.04)に達することがわかった。
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