研究概要 |
【高炉内反応でVの全量を溶銑に含ませる研究】 1400~1500℃において黒鉛るつぼ中で炭素飽和溶鉄とV_2O_3酸化物を含むCaO-SiO_2-Al_2O_3-MgO系高炉スラグ)を長時間反応させ,溶銑/高炉スラグ間V分配比のスラグ組成・温度依存性を求めた。 【溶銑予備処理における酸化反応でNbおよびVの全量をスラグに取り込む研究】 1400℃においてマグネシアるつぼ中でNb、V、MnおよびPを含む炭素飽和溶鉄とCaO-SiO_2-FeO-MgO系溶銑予備処理スラグを反応させた。フラックス添加による濃度変化速度は塩基度や全Fe濃度に依らずNb>Mn>P>Vの順であった。塩基度や全Fe濃度が高いほど,いずれの成分の濃度変化速度も大きくなったが,Nb濃度の低下速度への影響が最も大きかった。この実験結果と反応モデル計算とによれば,脱燐時にVの酸化を抑制するには,塩基度を上げFeO添加速度を抑制することが効果的であるが,PとVを充分に分離するのは困難であること,Nbの場合にはPの酸化を抑制してNbを除去することが可能で,Si濃度を上げるとより効果的に分離できることが明らかになった。 【転炉における酸化反応でP,NbおよびVの全量をスラグに取り込む研究】 1600℃においてマグネシアるつぼ中でNb、MnおよびPを含む溶鉄とMgO-SiO_2-FeO系スラグを反応させた。スラグ/溶鉄間のNb分配比は{(%MgO)+(%FeO)+(%MnO)}/{(%SiO_2)+(%P_2O_5)+(%Nb_2O_5)}濃度比が高いほど高くなったが、特にFeO濃度の寄与が大きかった。FeO濃度15%以上で、メタル中のNbはほぼ全量がスラグ中に移行した。 【転炉スラグの冷却・凝固過程で特定鉱物相にNbおよびVを濃化させる研究】 1600℃においてマグネシアるつぼ中でNb、MnおよびPを含むCaO-MgO-SiO_2-FeO系スラグを溶解し、徐冷した。VはMgO-FeO-MnO-Al_2O_3-V_2O_5系およびCaO-NbO_x-V_2O_5系鉱物相に濃縮し、NbはCaO-NbO_x-V_2O_5系鉱物相に濃縮することがわかった
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