研究概要 |
本年度は,共晶および過共晶Al-Si合金を用いて,ソノ凝固実験を行い,共晶,過共晶Al-Si合金に現れる非平衡α-Al相の晶出メカニズムの解明に力を注いだ.また,過共晶Al-Si合金のソノ凝固連続鋳造ビレットの作製,過共晶Al-Si合金のソノ凝固ビレットを用いる遠心鋳造,さらに,亜共晶Al-Si合金を用いる半溶融ダイカストを行うことによって,従来にないミクロ組織を有する創形創質プロセスの基礎開発研究を行った.ソノ凝固における結晶粒微細化に対して,(1)超音波キャビテーションにより破壊された結晶が新たな核になるため,核数が増加,結晶粒が微細化するという説を否定し,(2)超音波キャビテーション気泡の崩壊によって生じる超高圧場で,溶湯の凝固温度が上昇するため液相中に核が発生する新しい学説を提案した.また,共晶・過共晶Al-Si合金の一方向性ソノ凝固実験から,液相および固液共存域におけるキャビテーション気泡の役割が明らかになった.以上のように、ソノ凝固させた過共晶Al-Si合金のミクロ組織中に初晶Siとα-Al相各々の発生メカニズムを解明した. 代表的な液相での創形プロセスであるダイカスト,連続鋳造,遠心鋳造にソノ凝固現象を適用し,従来にないAl-Si合金のミクロ組織,すなわち,特徴的な機械的性質を有する合金の創形創質プロセスの第一歩を確立した.
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