研究課題/領域番号 |
20360345
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
伊藤 靖彦 同志社大学, 理工学部, 教授 (20026066)
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研究分担者 |
和田 元 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (30201263)
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キーワード | 金属ナノ粒子 / 溶融塩 / プラズマ誘起電解 / 溶融塩電解 / 放電電解 / 連続製造システム / 陰極放電 / 大気圧プラズマ |
研究概要 |
本研究では、新規なナノ粒子作製法であるプラズマ誘起電解法において、回転円盤式電解装置を用いた作製粒子のサイズの制御と、連続的な電解を可能にするための自律型放電維持システムの構築を目的として一連の検討を進めてきた。 回転円盤式電解装置では、高速回転させた陽極円盤上に連続的に供給された電解浴においてプラズマ誘起電解を行い、ナノ粒子を形成する。これまでに、円盤の回転速度によって得られる粒子のサイズを制御できることを確認しており、10nm以下の極めて微細なナノ粒子が得られている。 一方、電解開始時に3.0kV程度の電圧を瞬間的に電極間に印加し、駆動した放電を20V程度の電圧で維持しながら、ナノ粒子を形成する、新たな放電制御システムを開発した。さらにこのシステムによって、放電が途切れた際には、電極間に再び3.0kV程度の電圧を自律的に印加して、放電を再駆動することも可能になった。 本年度は、電解の電流値について検討を行ったところ、3.0A以上の電流で長時間電解を行った場合に、放電極の著しい消耗が確認された。これは放電部の高温のためであると考えられる。 この高温化を抑制するためには、これまで一本の陰極で行っていた放電を、複数電極からの並列的な放電とすることで、放電極1本当たりの電流値を下げる必要があると考えた。そこで、放電極の多電極化について検討を加え、上記の自律型放電制御システムに多電極化機能を付与した新たな放電システムを設計・製作し、この放電システムを用いた多電極放電によるプラズマ誘起電解が可能であることを実証した。 さらに、放電極先端と浴面間の距離などの環境条件によって、各放電極に流れる電流値に偏りを生じることを見出し、これらの影響を緩衝し得る電流安定回路について検討を加え、各放電極における電解電流値の均一化を図ることなど、今後の研究開発の指針を明らかにすることができた。
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