研究概要 |
機能性ナノ粒子を分散した有機無機複合材料の機能性向上に向けて、ナノ粒子の界面化学構造がマトッリクスとなる樹脂の化学構造に類似した構造となるように設計する必要がある。平成20年度では、機能性金属酸化物ナノ粒子と機能性炭素系材料を対象とし、それらナノ粒子の界面化学構造が各種樹脂構造に類似した構造となるように設計する手法を検討した。酸化物ナノ粒子の表面修飾については、表面修飾時に分散対象溶媒に応じて疎水性有機官能基と親水性有機官能基を有するシランカップリング剤を組み合わせることにより、目的の有機溶媒に均一分散可能な無機酸化物ナノ粒子が得られることを明らかにした。また、頭基にリン酸基、有機鎖に親水鎖(ポリエチレングリコール鎖)と疎水鎖(アルキル鎖)を併せ持つ新規な表面修飾剤を設計し、TiO_2,Fe_3O_4,Agナノ粒子に修飾することによって様々な極性の有機溶媒やエポキシ樹脂に高濃度均一分散できる事を明らかにした。このプロセスにより得られたTiO_2/エポキシ複合体は、表面修飾したTiO_2ナノ粒子の濃度を40wt%に濃縮しても高い透明性を保っことが明らかとなった。一方、炭素系材料の表面修飾については、カーボンブラックナノ粒子表面にDiels Alder反応を用いて無水マレイン酸が導入できることがフーリエ変換型赤外分光法により明らかになった。さらに、水を付加する事でカーボンブラックを親水化できる事が明らかになり、カーボンブラックの表面状態をテイラーメイドに修飾できる事が示唆きれた。
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