平成21年度では、平成20年度より検討している機能性ナノ粒子の樹脂分散を目的とした新規表面修飾を施したナノ粒子を対象に、各種樹脂への分散試験を検討した。ナノ粒子の分散性を維持した粒子の最大充填量を明らかにした上で、粒子濃度や粒子表面状態が有機無機複合体の物性に及ぼす影響を検討した。TiO_2ナノ粒子を、有機鎖がPEG鎖とアルキル鎖に分岐した新規なアニオン性界面活性剤で修飾した粒子は、エポキシやPMMAなどの複数の樹脂材料に最大40wt%の濃度に分散できる事が明らかとなった。得られたTiO_2/エポキシ複合体は、表面修飾剤に起因する形状記憶効果が発現した。また、BaTiO_3粒子については、シランカップリング処理プロセスが表面化学構造に大きな影響を与える事を明らかにし、粒子界面と樹脂との親和性によってBaTiO_3/エポキシ複合体の誘電特性が変わる事を明らかにした。機能性炭素材料についてはカーボンブラック(CB)を対象に、Diels Alder反応で無水マレイン酸を修飾した後にエポキシ樹脂を付加させることで、CB表面とエポキシ樹脂間の接着性か向上する事を明らかにした。
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