研究概要 |
平成20年度に本研究を通して明らかになったナノ発泡条件を用いて,様々な空隙率と閉孔径を有するシリカナノフォームを作製することができた。さらにそれらをより実用材としての形態に近い粉体にすることを企図し,これに成功した。ナノフォーム中の閉孔構造は,通常の機械的粉砕の水準の操作では容易に損なわれないことが明らかになった。すなわち,通常の工業的な単位操作の範囲内では,内部の中空構造は保持される。ナノ泡を多数内包する粉体材料に対してはその性状・特性をパラメター化(パラメタライズ)する手法が必須である。これを迅速且つ簡便に行うための手法を探る必要があると考えた。粉体材料はごく日常的にとりあつかわれる材料形態であり,その性状の判別に長けた熟練した技術者は,それらのハンドリング動作中の集団的な動き(kinematics)から粉体材料の性状にかかわるパラメターを瞬時に推測することができる。当科学研究費補助金の助力を得て高速度撮影が可能なカメラを導入し,我々の汎用工業材の体感判別に際しての動作を機械的に模擬し,その動作中に於ける判別対象の集団的な運動の計測をつぶさに行うことにより,体感判別時のシグナルのキャブチャーポイントの手掛かりを得た。粉体に関しては,壁面への衝突時のインパルスが特徴的であり,加速度測定によりこの衝突挙動の時系列測定を力学的にとらえることが可能であることが明らかになった。測定のみならず,その結果を剛体球や粘性流体に対して行った測定の結果と比較することにより,粉体に特徴的な衝突のシグナルを抽出することができた。
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