研究概要 |
平成20-21年度に本基盤研究をおこなうことにより明らかになったナノ発泡条件を用い,平成22年度には様々な空隙率・閉孔径・密度・空孔径を有するシリカナノフォームを作製することができた。さらにそれらをより実用材としての形態に近い粉体もしくは微粒子にすることを企図し,この条件を明らかにした。ナノフォーム中の閉孔構造は,通常の機械的粉砕の水準の操作では容易に損なわれないことが明らかになった。すなわち,通常の工業的な単位操作の範囲内では,内部のナノスケールの中空構造は保持されることがわかった。さらに加熱過程中のナノフォーム形成時のin situ観察(高速度撮影)を試み,これに成功した。予備加熱体の硬化の程度が不充分な場合は発生する気体形態の化学種はマトリクスのネットワークをすりぬけて逃散し,閉孔型の空孔を形成することはできない。これをかんがみ予備加熱の程度を上昇させたところ,マトリクスの稠密性が向上し,発生気体種をマトリクスの中にとじこめることができることが明らかになった。すなわち,ナノフォームの形成のためには,固体マトリクスの充分な予備的固化が必要不可欠である。しかし予備加熱を過剰におこなうと発生する気体のもととなる残留水酸基が急速加熱のまえにマトリクス外へ水(水蒸気)として出てしまい,ナノフォームを形成する材料としての高圧気体が発生しなくなってしまうことがわかった。予備加熱は400℃から600℃のあいだの温度でおこなうことが必要である。
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