研究概要 |
硬質の固体マトリクスをマイクロウェイブや輻射などの物理的な手法により瞬間的に加熱すると,そのマトリクスのなかで低分子種が気相に類似した相を形成し,さらにはその周囲の固体マトリクスをおしのけて等方的に変位させることにより一種のバルーン構造が形成されることがみいだされた。このことは,たとえばソル-ジェル法などの硬質マオリクス中に低分子量成分を必然的に残留させるような手法を用いてマトリクスを調製すると実際にバルーン構造の発生がみられることから,低分子量成分の気体化が現象のひきがねになっていることがわかった。このバルーン構造はその形成過程の特徴を反映してほぼ真球状である。さらにその最大の形態上の特徴はその径の小ささである。通常,泡は相互に合一する傾向が大きいが,本研究ではそのマトリクスの高い剛性に起因して泡状構造の合一は著しく抑制されており,バルーンの内径はたかだか100nm程度におさまっている。研究プロジェクトの後半では,この方法により得られる材料の粉体化を試みた。さらにその粉体の動力学的な特性からその特性を把握する計測の方法論に関する試験的な検討も行っている。
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