研究概要 |
本研究は,レゾルシノールとホルムアルデヒドからゾルーゲル重合で合成した有機ゲルの一方向凍結,凍結乾燥,炭素化,賦活によって,特殊なテンプレートを使用せずに「共連続構造」の規則性マクロポーラスカーボンモノリス(連続したマクロ流路を持つカーボン成形体)を製造する新しい方法を確立し,マクロ構造とナノ構造の階層制御(独立制御)法を開発することを目的とする。 凍結速度を変化させてハニカム開口径が異なるマクロポーラスカーボン(ハニカム状カーボン)(CMH)を作製し,CO_2賦活を行ったところ,ハニカム構造を保持し,細孔を発達させることができた。次に,CMHのメソ細孔特性とミクロ細孔特性に及ぼすゲル合成条件の影響に検討を加えた。レゾルシノールと触媒のモル比R/C=100,50,25で作製したCMHのCO_2賦活を行ったところ,全ての試料において賦活により細孔特性が向上することが分かった。特にR/C=50で作製したCMHをburn-off 75%まで賦活させたところ,著しくメソ細孔が発達した。 減圧下でシリカゾルをCMHに含浸させ,一定時間のエージングの後,一方向凍結,溶媒置換,凍結乾燥を行った。軟らかいゲルを一方向凍結することでハニカム状の,硬いゲルを一方向凍結することで繊維状のシリカゲルをCMHのチャンネル内に作製することができた。シリカ含有量は,ハニカムの場合には31wt%,繊維の場合には20wt%となり,直線状のマクロ孔空間を残したまま複合化することができた。また,開口径の大きいCMHに開口径の小さなハニカム状シリカゲルを複合させることで,シリカ含有量は45wt%に増加した。さらにコロイダルシリカをCMH内で重合することで,73wt%のシリカを含有する高強度な複合材料を作製できることが分かった。
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