研究課題/領域番号 |
20360351
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松山 秀人 神戸大学, 工学研究科, 教授 (50181798)
|
研究分担者 |
丸山 達生 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30346811)
曽谷 知弘 神戸大学, 工学研究科, 技術専門職員 (10397797)
|
キーワード | 熱誘起相分離法 / 中空糸膜 / 多孔膜 / 浄水処理 / PVDF |
研究概要 |
本研究では、孔構造の設計に関する基礎的なシミュレーションの検討から、実際の中空糸膜の作製およびそのモジュール化、さらには実河川水を用いた長期に渡る性能評価といった各階層での検討を詳細に行いそれらを統合化させた一連の検討を行う。 今年度はまず相分離に伴う相の成長過程を追跡するため,準安定領域と不安定領域に冷却された溶液についての相分離過程を、速い初期の過程から遅い後期の過程に至るまで、ホットステージをセットした高分子フィルム光散乱装置(現有設備)により系統的に測定した。不安定領域でのspinodal分解過程について、Cahn-Hillard理論をもとにCell dynamical Systemを用いて、多孔構造形成のシミュレーションを行った。シミュレーションによって得られた構造をフーリエ変換することにより構造関数を求め、光散乱実験で得られた散乱結果との比較検討を行った。従来の解析では、ある温度に冷却された後の解析であったが、ここでは新たに冷却過程を組み込むことでより実際の中空糸膜作製条件に沿った解析を実施した。 さらに熱誘起相分離法を用いて多孔性中空糸膜の作製を行った。高分子としては耐熱性や耐薬品性に優れ、機械的強度も高いポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。液一液相分離と、固-液相分離(高分子の結晶化)が起こる二つの場合について中空糸膜を作製し、膜ファウリングに及ぼす膜構造の影響を詳細に検討した。ファウリング実験に用いた溶質は、フミン類のモデルとしてのフミン酸、糖類のモデルであるアルギン酸ナトリウム、およびタンパク質のモデルであるBSAである。用いる溶質により、ファウリングの抑制に最適な膜構造に相違が見られ、従ってそれぞれのケースについて膜作製方法を最適化させた中空糸膜を用いる必要があることがわかった。
|