研究概要 |
本研究は,これまで蓄積されてきた化学工学に基づく知見とシステム工学手法および飛躍的に発達した計算機能力を用いて,装置構造までも考慮に入れた新たな装置設計法の提案を目標としている.具体的には,特定のマイクロ装置を対象とし,モデルの構築とそのモデルを用いた設計手法の開発,および装置の製作と実験による検証を本補助金申請の期間内での達成目標としている.本年度得られた成果は以下の通りである. 1.構造を考慮できる設計用モデルの開発 簡単な構造のマイクロ熱交換器およびマイクロ反応器を対象に,処理手順,機能,単位装置をどのように規定すれば,全体が表現できるかを明らかにした.そこでは,混合する流体の衝突角度の異なる混合器を,異なる種類の混合器とみなすべきか,あるいは衝突角度をパラメータとして1つの混合器モデルで表現するか等,様々な可能性を検討した. 2.最適設計手法の開発と最適化を実行するソフトウェアの開発 1つの処理手順で要求される機能を実現可能な単位装置は,一般に複数存在する.したがって,最終的なディバイス構造の候補の数は,必要な処理手順が増えるにつれ,また利用可能な単位装置の種類が増えるにつれ,指数関数的に増大する.このような状況下での最適解導出法として,考えられるすべての構造を含んだ構造(スーパーストラクチャーと呼ぶ)をまず構築し,最適化により不要な構造を除去する,という手法を採用した.そして,マイクロ熱交換機を対象に,スーパーストラクチャーを用いた構造モデルを導出した. 3.設計結果検証用のディバイスの製作と実験による検証 上記2で開発したモジュールについて,その入出力関係を実験により検証する.本年度は予備実験として,既存の構造のマイクロディバイスを対象に,滞留時間分布を中心にモデルと実験結果の比較を行った.
|