研究概要 |
ナノ材料は大きな比表面積やバルク固体とは異なる表面状態、量子効果などにより期待を集めているが、本研究では、従来材料と同じ構造のままサイズのみをナノメーターレベルとするのではなく、申請者らが提案した新しい概念の反応場であるナノリアクターでの合成によって、従来法では合成されていない特異な構造をもつナノ材料を創製することを目指した。熱分解反応と加水分解反応を利用してナノメーターサイズのカーボンならびにチタニア、バナジア、白金、酸化ロジウムを合成した。 提案法で作製した新規ナノカーボンのキャパシター電極への応用実証実験を行った。合成したナノカーボンと導電材のカーボンブラック、バインダーのPTFEを重量比8:1:1で混練したものを錠剤成型機を用いて直径13mmのタブレット状に成型して、電極を作製した。これを電解液である1mol/L EMIBF4プロピレンカーボネート溶液とともにセル中に入れ、キャパシターの評価を行った。従来用いられている活性炭電極に比べ、ナノカーボン電極を用いたキャパシターの方が大電流領域での静電容量低下が少なく、速度性能に優れることが分かった。比較のために高密度活性炭素繊維電極も評価したところ,高密度活性炭素繊維電極は活性炭電極とナノカーボン電極の間の速度性能を示した。これはメソ孔の発達した炭素材の方が速度性能がよいことを示している。 ナノリアクターの工業的応用には迅速昇温の方法が課題となるが,反応温度に保った高温部に試料を落下させる方式により十分な昇温速度が達成できることを確認した。
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