研究課題/領域番号 |
20360366
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
安保 正一 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70094498)
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研究分担者 |
松岡 雅也 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80305648)
竹内 雅人 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助教 (90382233)
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キーワード | 可視光応答型光触媒 / 酸化チタン薄膜 / マグネトロンスパッタ / 太陽光利用 / 水の分解反応 / 水素と酸素の分離生成 / 積層型薄膜触媒 / 2槽型セル |
研究概要 |
研究代表者は、これまでにマグネトロンスパッタ法により金属Ti板上に可視光応答型酸化チタン薄膜(Vis-TiO_2)を成膜した光触媒デバイスを2槽型セルに設置し、太陽光照射下で水から水素と酸素を分離生成することに成功している。本研究では、Vis-TiO_2(膜厚3mm)と金属Ti板との間に、緻密な薄膜構造を有する紫外光応答型酸化チタン薄膜(UV-TiO_2:膜厚0.1mm)を構築することで水の分解効率の向上を図った。金属Ti板上に成膜したVis-TiO_2は擬似太陽光(ソーラーシミュレータ)の照射で水からの水素と酸素の分離生成反応に活性を示すが、Vis-TiO_2と金属Ti板との間にUV-TiO_2を積層化することで水素および酸素の生成効率が大きく向上することが明らかとなった。これは、緻密な酸化チタン層がTi金属上に成長することにより、金属Ti基板と水溶液の接触が抑制され、Ti金属から水溶液への逆電子移動が減少し光触媒効率が向上したものと考えられる。逆電子反応の抑制の効果について検討するために、2槽型セルによる水からの水素と酸素の分離生成反応において,作用極側からの水素発生量を検出した。Vis-TiO_2よりも積層型のVis-TiO_2の方が作用極側での水素発生量が少ないことから、積層構造の構築により逆電子反応の抑制の効果が現れたことが確認できた。今後は、多孔質なTi金属上に緻密な酸化チタン薄膜が生成した構造を有する可視光応答型酸化チタン薄膜を成膜し、紫外光・可視光の双方に優れた応答を示す光触媒デバイスの構築をめざす。
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