研究課題/領域番号 |
20360371
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大河内 美奈 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70313301)
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研究分担者 |
本多 裕之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70209328)
加藤 竜司 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50377884)
式田 光宏 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80273291)
水谷 孝 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70273290)
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キーワード | 液滴 / 磁性搬送 / 磁性粒子 / 1細胞解析 / PCR / 遺伝子発現解析 |
研究概要 |
磁性粒子は、生体サンプルからの目的とする細胞や生体分子の分離、精製、濃縮を可能とする特性を有する他、反応場である液滴間の搬送子として利用でき、磁力を駆動力として用いた解析システム全体の小型・携帯化を実現する上で優れた特性を有する。本研究では、多検体同時に1細胞レベルでの遺伝子発現解析を行う磁力応答型の液滴搬送システム(MAG-LOC;Magnetic force-based lab-ora-chip)を開発した。昨年までに、磁性ナノ粒子を液滴合一操作や磁性粒子の抽出操作を行うためのマイクロチャンバーアレイの設計と作製、細胞アレイ・液滴形成、PCR阻害のない磁性ナノ粒子表面修飾法に成功した。本年度は、臓器由来の付着性細胞の遺伝子発現解析を目的として、磁性マイクロキャリア上に1細胞ずつ付着させて遺伝子発現解析を行った。マイクロチャンバーウェルチップを設計・試作する2とともに、各チャンバーに合わせて微小なNd-B磁石を配置した磁性操作デバイスを作製した。組織培養で実績のあるマイクロキャリア(デキストラン性Cytodex3;直径170~220μm)の磁性化および細胞付着条件を決定し、各マイクロキャリアあたり線維芽細胞を1つ接着させた後、液滴封入と磁場搬送、トリプシンを用いないin situ遺伝子発現解析を行った。細胞封入液、細胞溶解液、RT-PCR溶液の3液滴系の遺伝子発現解析を、マウス線維芽細胞BALB/3T3とそのがん化モデル細胞3T3/v-srcの遺伝子発現解析に適用した。磁性ナノ微粒子懸濁液中でCytodex3を膨潤させることでマイクロキャリアの磁性化に成功し、液滴内に1キャリアを封入した。v-srcの下流に存在し細胞移動に関係するRac-1遺伝子をRT-PCR解析した。がん化モデル細胞でRac-1遺伝了発現は10倍以上増加することが確認できた。また、細胞をトリプシン処理して解析したところ、直接細胞溶解した場合の2倍以上の発現が見られ、液滴系によるin situ解析の重要性が確認できた。以上より、磁力応答型の液滴搬送法を利用し一細胞レベルでの遺伝子発現解析システムを開発した。
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