研究概要 |
miRNA定量分析に資するナノLC/MS分析系の改良を行った.75μm内径の石英粗管をレーザーキャピラリープラーで先端加工し,8μm先端内径のカラムを作成し,粒径3μmのODSシリカゲル粒子を充填し,質量分析チップ一体型のナノLCカラムを作成し,イオントラップ型質量分析計に連結し,超微量定量分析系を確立した. ゼブラフィッシュの発生胚を材料として,miRNAの抽出・精製法の最適化検討を行った.ゼブラフィッシュの発生胚(24hpf)100個(130mgFW)から、total RNAは39±8・g(mean±SD)、miRNAは0.39±0.02・g回収され、total RNAに対するmiRNAの割合は約1%であった. miRNA前駆体定量システムの開発に向けて、質量分析用のプローブとなる修飾オリゴDNAの合成を行った.プローブは質量標識部位、リンカー部位、核酸部位(塩基配列認識部位)の3つより構成される。質量分析器によって感度良く検出できるプローブを開発するために、質量標識部位およびリンカー部位の化学構造の最適化を検討し含窒素化合物を有する誘導体が高感度に検出されるなど分子設計の指針となる知見を得た. miRNAおよびpre-miRNAの精製濃縮システムの開発として,細胞からRNAを抽出するための条件の精査を行った。特に今回は、精製濃縮の後質量分析することを考慮し、なるべく余計な分子がRNAに結合しないように、変性剤を用いないでRNAをトラップする条件を求めこと、及びその効率を高めることに注力した。その結果、70℃で10分保持後、氷上で5分保持する熱処理によって、それまでの変性剤を用いないでも、ssRNAをトラップできること、トラップするための狭小部の幅は8μmがよいこと等が分かった。
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