研究概要 |
ナノLC/MSによる精密微量定量システムを実用化した.質量分析によるmiRNAの検出システムの開発を実施した.高分解能,高質量精度を有し,かつ,MS(n 乗)測定が可能であるハイブリッド型質量分析計であるイオントラップ飛行時間型質量分析計(IT-TOF-MS)を用いた.一塩基置換の配列の検出も可能とした.同位体パターンを解析することにより,各多荷イオン価数を確認し,分子量の精密推定を可能とした. miRNA前駆体定量システムの開発に向けて,質量分析用のプローブとなる修飾オリゴDNAの合成を行った.これまでの研究で,質量標識部位にはある種の含窒素化合物を有する誘導体が高感度に検出されることが明らかにしたため,その知見に基づく分子設計を行い,複数のDNAプローブをポスト修飾法によって合成した. miRNAの濃縮精製を指向し,トラップ条件とトラップ確率の関係を精査し,トラップ確率が,電圧と流速の比率でのみ決まり,その絶対値には影響しないことを見出した.これは,本トラップが,誘電泳動によるものではなく,新しいものであることを示している.現在この情報を元に,トラップメカニズムを解析するための,数値シミュレーションを試みている.また,細胞の解析実験では,1細胞のDNA・RNA解析を容易にできるように,細胞を1つずつ自動的に配列させて,トラップ部へ導入する機構を完成させた.また,チップ上でPCR解析を行うために,Polydimethylsiloxaneのガス透過性を積極的に利用した手法を考案し,有効性を実証した.
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