本年度は高速流中にて誘電体バリア放電によるプラズマの発生手法を確立した。まず主流速50m/s程度の亜音速流中にてプラズマを発生させ、電流・電圧特性、それに基づく消費電力の算出を行った。電極間隔が大きいとマイクロ放電の数が減少し、放電体積が減少すること、一方、電極間隔が小さすぎるとアーク放電に移行しやすくなることがわかった。また、消費電力量は高々6W程度であり、数kWを要するプラズマジェットのような平衡(熱)プラズマよりはるかに小さいことがわかった。消費電力は印加電圧の振幅が大きいほど、また印加電圧の周波数が大きいほど大きくなることを明らかにした。さらに、生成された非平衡プラズマの分光分析を行い、励起した窒素分子、窒素分子イオンからの発光を捉えることができた。0ラジカルについてもわずかに検出することができたが、その発光強度はプラズマジェット等に比べて、はるかに弱く、生成量が極めて微量であることがわかった。亜音速流中における実験結果を踏まえて、マッハ数2.5の超音速流中にてプラズマの発生を試みた。超音速流中での非平衡プラズマの生成は亜音速流中での生成よりも低い印加電圧で発生させることが可能で、消費電力も小さい結果であった。放電による発光も亜音速流中よりも強く、また放電体積も大きくなった。これは、主流静圧が約0.01MPaと低かったことが要因であると考えられる。また、印加電圧の振幅や周波数に対する放電特性は亜音速流中で発生させた場合と同じであり、分光解析の結果も全く同様であった。
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