研究課題/領域番号 |
20360380
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高木 敏行 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20197065)
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研究分担者 |
三木 寛之 東北大学, 流体科学研究所, 講師 (80325943)
竹野 貴法 東北大学, 国際高等研究教育機構, 助教 (00451617)
足立 幸志 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10222621)
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キーワード | トライボロジー / 硬質炭素膜 / 耐環境性 / スマートコーティング |
研究概要 |
本研究ではナノクラスタ金属を分散させた硬質炭素膜(Me-DLC)について耐環境機械特性及び電気伝導性を制御し、機能性の定量的な評価を行っている。硬質炭素の特性を生かした摺動部材としての極限環境に適応可能なスマートコーティング技術を確立することを目的としている。今年度は導電性硬質炭素膜の動的接触のモデル化に関して、以下の項目を実施した。1)硬質炭素膜の電気伝導モデルの構築: 現象論的な物理的モデルに基づき、導体(金属クラスタ)-絶縁体(DLC)複合材に関する電気伝導モデルを構築した。ここでは、ミクロ構造であるナノスケールの金属クラスタがDLC膜中に均一分散するマクロな電気伝導モデルを用いて実験値を解析し、定量的な電気伝導モデルを示した。2)硬質炭素多層膜の高真空環境摩擦摩耗特性の評価: 本研究ではこれまでにMe-DLCを多層化することにより高真空環境下においても良好な摩擦摩耗特性、耐剥離性の向上を見出した。より面圧の厳しい実条件への適用を可能にするため、炭化水素系の多アルキルシクロペンタン油を用いた高真空環境下における摺動試験を行った。ここでは、金属を含まないDLCの下地としてMe-DLC膜を導入したDLC多層膜で真空中摩擦係数及び耐摩耗性が従来のDLCに比べて非常に優れることを示した。3)硬質炭素膜のナノスケール接触モードと電気伝導の関係評価: 従来の摩擦摩耗現象の計測では動的現象である摩擦を静的なパラメータを代用的に用いてきた。ここでは、摩擦摩耗現象を動的に計測し、摩擦に伴う機械的・化学的特性め変化によってもたらされる接触抵抗の変化機構を詳細に検証することによって、接触面に形成される金属を主体とする移着膜が摩擦摩耗特性に影響を及ぼす現象のモデルを提案した。
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