研究課題/領域番号 |
20360386
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
小野田 淳次郎 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 所長 (20013740)
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研究分担者 |
峯杉 賢治 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (90239327)
竹内 伸介 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (20353419)
下瀬 滋 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 副グループ長 (80443282)
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キーワード | 振動制御 / エネルギ回生 / 準能動的制振 / 無電力 |
研究概要 |
本研究は、受動的制振より制振効率が格段に高く、かつ絶対安定性をもつエネルギ回生型準能動的制振において、圧電素子により振動エネルギから変換した電気エネルギを用いて制御ロジックを組み込んだマイクロプロセッサを駆動することにより、外部からの電力供給を不要とすることにより、運用性が高く、高性能な制振技術の確立を目指すものである。今年度の成果は下記の通りである。 (1) 平成21年度に改良した振動試験供試体(構造体)の特性を同定し、これに基づく制御ロジックの設計と、同様に平成21年度に低消費電力化に向けて改良したマイクロプロセッサへのインストールを実施。 (2) 上記の振動試験供試体と、新マイクロプロセッサおよびエネルギ回生電源を組み込んだ制御回路とを組み合わせ、一自由度振動に対して、マイクロプロセッサの動作確認、演算速度や消費電力、制振性能の測定等を経て、安定動作と高効率の制振が得られるよう全体回路の調整を行った。その結果、十分な制振をもつデジタル制御による無電力制振に成功した。これにより、この研究の目的(すなわち振動エネルギから変換した電気エネルギで制御ロジックをも駆動するデジタル完全無電力化制振)が達成された。 (3) 続いて、振動試験供試体を2自由度振動系に組み替え、本無電力デジタル制振システムによる多自由度振動の制振能力の確認を行った。その結果、従来技術である無電力アナログ制振システムの制振性能が大きく低下する多自由度振動の場合にも、この無電力デジタル制振システムは有効に制振し、振幅を前者の1/2以下に保つことができること等、本手法の優位性を明確に示した。 (4) さらに、振動から変換された電気エネルギの内で制振回路が消費する電力の割合が制振性能に与える影響等、本手法の特性についての様々なデータを取得するとともに様々な考察を呉もなった。現在これらを整理し、複数の論文として公表する作業を実施中である。
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