研究分担者 |
宮田 秀明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70111474)
秋元 博路 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20283971)
張 静 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (30422330)
田中 謙司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40431788)
|
研究概要 |
安定調達という観点から資源の物流システムの再構築が本研究の目的である.このために,まずは,調達のコストとリスクの双方を定量評価するための海上輸送シミュレータを作成する.次に,資源の一例として鉄鉱石を取り上げ,上記シミュレータを用いて,勘案した最適船隊・最適航路を算出して,この成果を効率的かつ安全・安心な物流システムとして提言する. 研究初年度は,以下の三つを実施した. 1.鉄鉱石物流に関する調査:鉄鉱石貿易に関する年鑑や関連団体が公表している各種資料を収集して,特に日本に関係する輸出港湾の取扱量や,日本における輸入港湾の取扱量などの統計量についての調査・解析を実施した.さらに英Lloyd's Register-Fairplay社が提供している港湾データベース,鉱石運搬船を含むバラ積み船のデータベース,2007年10月から2008年3月までの全世界におけるバラ積み船の運航データを購入して,これらのデータの解析を実施して,統計量では把握できない個別の輸送データの把握に努めた.さらに,これらの個別の輸送データを補足するために,鉄鋼会社の原料調達部門への聞き取り調査を行った. 2.海上物流シミュレータのプロトタイプの構築:輸出入港湾とバラ積み船,輸送航路を個別にモデル化して,時間発展的にシミュレーションを実施するプロトタイプを構築した.このプロトタイプを用いて,粗鋼生産量国内鉄鋼業の上位2社(世界2・3位)における鉄鋼石物流の現状再現を試み,調達コストを定量的に把握できることを確認した. 3.安定調達の定量的リスク評価法の検討:各鉄鋼所(輸入港)における生産量と時々刻々と変化する在庫量,および配船計画を考慮して,各鉄鋼所における資源枯渇リスクの評価法を検討した.この各鉄鋼所における日ごとの資源枯渇リスクを元にした安定調達リスクの詳細な算出と実装は次年度以降に行う.
|