研究概要 |
本研究は波浪中を航行する船舶においてマイクロ波パルスドップラーレーダを用いたリアルタイム波浪観測方法の開発を目的としている。本年度は,パルスドップラーレーダによる海洋波浪観測アルゴリズムを実海域波浪観測に適用し、開発したアルゴリズムより得られた波浪情報と従来の波浪観測機器から得られた波浪情報との比較を行い、本研究で開発する波浪観測方法の有効性を確認すると共にアルゴリズムの改善を行った。また、リアルタイム波浪観測のための、レーダ信号の収集及び解析システムの最適化を行った。 (1)実海域での波浪観測は、固定式アンテナによる2方向照射方式マイクロ波パルスドップラーレーダを用いて、東京大学平塚沖総合実験タワーにて行った。開発したレーダ出力信号から波浪情報を導出するアルゴリズムを適用して得られた波浪情報と、従来の波浪観測装置である空中式超音波波高計により計測された波浪情報とは非常に高い相関が見られ、海洋波浪観測装置としてのレーダの実用性が確認できた。また、開発した波浪観測方法を用いて、海域に存在する成分波ごとの周期、波高、波向、位相の波浪情報を取得に成功した。 (2)波浪情報のリアルタイム性を確保するため、FPGAを用いて、レーダからの信号収集及び処理をオンボード上で行う方法を提案した。FPGAによるデータ処理アルゴリズムを開発し、レーダのデータ処理に適用した。FPGAを用いて信号の収集及び処理を行うことにより、レーダを用いる波浪観測システムによる、波浪状況のほぼリアルタイム観測が可能となった。
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