今年度は、船舶海洋構造物のリスク評価と余寿命便益評価に基づく構造保全手法の検討を行った。まず船舶に関して、保守管理計画立案のためのリスク評価及び余寿命便益(RLB=Rem aining Life Benefit)評価の定式化を行った。具体的には、船舶の運航により得られる収入と、そのために必要となるコストの差を余寿命便益と定義した。コストとしては、運航コスト、保険コスト、保守管理コスト等に加えて、事故リスクを評価した。構造物は経年により劣化し、腐食や疲労により強度が低下する。従って、事故リスクも経年により増加していく。よってリスク評価においては、構造強度の劣化を考慮して事故リスクを船齢ごとに評価し、現在から使用停止(廃棄)時の船齢までに期待されるコストの総和を考えた。 具体的な計算例としては、北大西洋航路のバルクキャリアーを対象を想定し、本手法が保守管理手法に立案に有効であることを示した。また、本研究では、このような手法を外洋上の風力発電のウィンドファームの浮体海洋構造物への適用を検討し、初期塗装方法と保守管理手法の立案に適用できることを示した。
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