研究概要 |
船舶における建造及び艤装時に代表されるように,溶接構造物において工作精度を高めることは,コスト面のみならず性能面にも影響を及ぼす重要なテーマである.溶接変形はその代表的なものであり,これまでは,溶接前の対策として溶接変形を拘束の力で完全に抑制することは困難なことから,溶接後に熱加工(線状加熱や「お灸」)や機械加工などの後処理によって変形を矯正している場合が多い.しかし,生産プロセス全体の効率を考えると,溶接後に何らの処理を加えることなしに溶接プロセス中に変形を制御してしまうのが好ましい.そこで,溶接施工終了後そのままの状態で必要な部材形状・寸法精度を確保することを目指した,高精度ニアネットシェイプ工作法を開発し,(1)温度分布制御による溶接変形アクティブインプロセスコントロール法の実用化,(2)材料特性制御による溶接変形コントロール法の確立,(3)温度分布制御・材料特性制御ハイブリッド溶接コントロール法への展開,(4)高信頼性変形制御継手の溶接方法の確立,の4項目を具体的な目標として本研究を進めた.初年度となる本年度は,溶接変形コントロールのために有効な温度分布制御指針についての検討,溶接変形コントロールに有効な材料特性の把握,材料特性による溶接変形コントロールに及ぼす溶接施工条件の影響に関する基礎的検討,温度分布制御・材料特性制御による溶接変形制御継手の継手性能評価,実際の使用形態を考慮した施工性の評価,などについての具体的成果を得た.
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