研究概要 |
本研究は4つのサブテーマからなっている. すなわち(1)流体包有き裂の3次元動特性の解明(林), (2)室内実験による検証(関根, 林), (3)フィールド実験データの解析と解釈(森谷, 林), (4)き裂同定逆解析法の構築とそのフィールドへの適用である(伊藤). (1)は本研究の核であり, 全体の展開を律速するものであるのでただちに, この解析を開始し, 動特性の大略を把握することを試みた. (2)においては, (1)の進展状況を踏えつつ, 実験モデルを作製するとともに計測システムを構築した. 計測システムはレーザードップラー振動計, コントローラーとデータ集積解析部からなる. 試験片は, 透明なアクリルで作製されている. レーザ一照射光の試験片表面による反射のみならず表面を透過し, 試験片内部境界(すなわち, き裂面)で直接反射してくる波を観測できるように配慮されている. ただし, 本計測システムでは, このような配慮をしたのは一箇所のみである. 他の計測点では加速度センサを用いた. 実験は円板状き裂の軸対称変形の場合で, しかも安定した結果の出やすいケースを取り上げ, 予備実験をくり返し習熟度を高めることに専念した. (3)では, 東北大学東八幡平フィールドで水圧破砕時や注水試験時に計測された弾性波の周波数特性を解析するとともに, 取りあげる各フィールドの特徴を明らかにしておく. 本研究では東人幡平フィールドのほかにフランスのソルツフィールドおよびオーストラリアのクーパーベイスンフィールドの解析も視野に入れているが, その実施は2年度以降とする. 本年度は対象フィールドを, 東八幡平フィールドに限定した. 基本的問題点の抽出を図ったためである.
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