研究課題
衛星リモートセンシングと陸域生態系モデルの組み合わせにより,陸域植生における主に地域スケール(数10km〜1,000km程度)での炭素収支・水収支・熱収支を高精度で求める方法を確立することを目的として研究を行った。まず1980年代以降の植生量や分布の変化について、気温・降水量・日射量などの気候パラメータとの関係を解析した。その結果、有意な植生変動があった何カ所かの地域において、どの気候パラメータが最も影響を及ぼしているかの推定が可能であった。次に地形起伏がある山地や丘陵で地域スケールでの水・熱収支(特に蒸発散散量)を解析するため、これまで平坦な農地に対して広く用いられてきた2ソースモデルを改良し、水・熱収支の計算に地形傾斜、標高、太陽方位などの効果を含めて計算できる新しいモデルを開発した。このモデルによる水・熱収支の推定結果を、名古屋近郊の瀬戸フラックス観測サイトでの実測結果と比較したところ、十分に実用に耐える精度で一致することが確認できた。またモデルによる水・熱収支の空間分布の出力も、現実的なものであった。また、中国・黄土高原南部のフラックス観測サイトで得られた蒸発散量の実測データを、衛星リモートセンシングデータから推定した蒸発散量や、再解析データと大気水収支法により推定した蒸発散量と比較・検討した。また、当該地域における夏季の水収支、局地循環、晴天積雲の発生に係わる数値実験を、雲解像モデルを用いて解析した。さらに大気大循環モデルを用いて、インドと中国における18世紀以降の大規模な植生改変がアジアモンスーン気候に与える影響を解析した結果、インドモンスーンと中国南部でのモンスーン降水量が大きく減少する結果を得た。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)
International Journal of Geoinformatics 4(4)
ページ: 1-7
SOLA 4
ページ: 73-76
J. Meteorol. Soc. Japan 86
ページ: 429-438