研究課題/領域番号 |
20360407
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
薛 自求 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90467449)
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研究分担者 |
松岡 俊文 京都大学, 工学研究科, 教授 (10303851)
山田 泰広 京都大学, 工学研究科, 准教授 (20362444)
辻 健 京都大学, 工学研究科, 助教 (60455491)
上田 晃 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90456799)
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キーワード | 地球温暖化 / 帯水層貯留 / 二酸化炭素 / 弾性波 / 比抵抗 / 砂岩 / 室内実験 / 粘土 |
研究概要 |
CO2排出権取引が実施され本格化する中、地中貯留におけるCO2貯留量評価は重要な検討課題の一つとなっている。地下深部の帯水層に貯留されたCO2を定量的に評価するには弾性波だけでは困難である。CO2飽和度が20%以上では、弾性波よりも比抵抗の方がレスポンスがよい。本研究では弾性波と比抵抗の同時測定システムを構築し、弾性波と比抵抗のジョイントインバージョン(joint-inversion)によるCO2貯留量評価手法の開発に取り組んでいる。 平成21年度では本研究で提案された比抵抗データに基づく砂岩中の流体の飽和度を推定する新しい計算式を用いて、長岡実証試験サイトの比抵抗検層データを再解析した結果、中性子検層で得られた貯留層内のCO2飽和度とほぼ一致することが明らかになった。この提案式が貯留層(砂岩)の粘土による比抵抗測定への影響を補正し、CO2飽和度を適切に評価することができた。また、今年度では含水飽和状態の多胡砂岩試料に超臨界CO2を注入しながら、弾性波速度(Vp)と比抵抗の同時測定を実施した。これらの測定結果を基に、弾性波トモグラフィによって砂岩試料に注入されたCO2の挙動を可視化することができた。可視化されたCO2プリューム(溜まり)と弾性波センサーや比抵抗電極との位置関係より、CO2フロント検出に関する比抵抗測定の有効性が確認できた。CO2溶解水の存在によって、比抵抗が著しく減少することは長岡実証試験サイトでも観測されている。地層水へのCO2溶解量の評価には比抵抗が有効なパラメータであることが明らかになった。今後は超臨界状態のCO2だけでなく、地層水に溶解したCO2も含めたCO2貯留量の定量的評価法を確立させる予定である。
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