研究課題/領域番号 |
20360420
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡辺 英雄 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90212323)
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研究分担者 |
鎌田 康寛 岩手大学, 工学部, 准教授 (00294025)
吉田 直亮 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (00127317)
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キーワード | 原子炉圧力容器 / 高経年化 / マトリクス欠陥 / 中性子照射 / イオン照射 / 照射脆化 |
研究概要 |
軽水炉の高経年化に伴う圧力容器鋼の照射脆化は監視試験片により評価されているが、本試験片は無加重の状態で照射が実施されている。また、加圧水型軽水炉(PBR)は沸騰水型軽水炉(BWR)に比べ照射速度が1桁程高く材料試験炉ではさらに3桁程高い照射実験が実施されており、より信頼性の高い脆化予測をおこなうためには、これらを考慮した脆化モデルの解明が不可欠である。 本研究では実機により近い動的照射環境(付加応力・照射強度が変化)でのマトリクス欠陥(格子間原子及び空孔型転位ループ)形成過程に注目して、鉄イオン照射中の内部組織・照射誘起の組成変化・磁気的(電気的)特性評価を実施することにより、本材料の脆化メカニズムを明らかにする。 平成20年度は圧力容器実用鋼(A533B)の応力依存性を追及し、イオン照射環境下での磁気的(電気的)特性評価の検討と電子顕微鏡試料作製薄膜技術を確立し、圧力容器鋼特有の現象の観察から、モデル合金を用いた本格的な照射実験の基盤技術を確立できた。 具体的には、九州大学応用力学研究所設置のタンデム型加速器のビームラインに動的照射効果観察ステーションを新しく設置して、軽水炉環境温度(約300℃)での引張応力下での照射実験を行ない、照射領域の硬度変化並びに損傷組織の内部組織観察を実施した。また、既存の超高圧電子顕微鏡(HVEM)用の引張ホルダーを改良して、従来まで困難であった歪量の定量化を試みた。電気抵抗・磁気抵抗測定システムに関連しては、本システムの立ち上げと純鉄を用いた照射下での測定を実施し、その内容を金属学会にて発表した。
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