研究概要 |
本研究では実際の原子炉により近い動的照射環境(負荷応力・照射強度が変化)でのマトリクス欠陥(格子間原子及び空孔型転位ループ)形成過程に注目して、鉄イオン照射中の内部組織及び磁気(電気)的特性評価を実施することにより、本材料の脆化メカニズムを明らかにする目的で平成20年度から4年計画でスタートした。平成22年度は昨年度に引き続き、圧力容器鋼(A533B鋼)及びそのモデル合金の応力依存性を追求した。既存のHVEMホルダーを用いて電子線のその場観実と結果の追う応力下での組織変化に関する実験を行った。電子線の照射には,九州大学箱崎地区高圧電子顕微鏡室設置のJEOL-1250を用いた。加熱引張可動範囲は0.0~2.0(mm),引張速度は0.9(μm/s)である。シャフト部をモーターで回転させることにより試験片に荷重が負荷される仕組みになっている。電子顕微鏡試験片設置部にある白金・白金13%ロジウムの熱電量にて起電力を計測することによって試験片温度を観測した。荷重は歪ゲージの出力電圧と荷重との関係を実測することにより求めた。変異も同様に出力される電圧と変異との関係性から校正を行った。応力が転位ループの成長に与える影響を正確に評価するために,変異量を変え,すべて同一箇所に照射を行った。573(K)における[111]方向からの応力下でのその場観察を行い、応力の負荷により,転位ループサイズの成長が促進されたいることが確認された。特に変異量0.3(mm)を境に転位ループの成長速度に変化が生じていることが確認された。今後、更に詳細な解析を行いながら、実機における応力こうかについて考察し予定する。また、本研究と関連した下記の論文を15^<th>ICFRM国際会議にて発表した。 THE EFFECT OF STRESS ON RADIATION INDUCED HARDENING OF A533B AND FE-MN MODEL ALLOYS,to be published in JNM,H.Watanabe,N.Yoshida,K.Kamada
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