研究課題
エネルギー回収型リニアックに代表される先進電子加速器を用いた次世代X線・γ線光源の輝度、強度は電子源の性能(エミッタンス)に大きく依存する。われわれは、光陰極型DC電子銃において、電子ビームエミッタンスを格段に小さくする(輝度を大きくする)技術として電子パルスの波形整形に注目し、本研究課題においてその実現を目指している。本年度は、(1)既存の250kV電子銃においてHeNeレーザーを用いて発生した電子ビームの初期エミッタンス測定、(2)チタンサファイアレーザーを光陰極に照射するための輸送系の設置、(3)半導体光陰極における光励起キャリア寿命測定を行うためのポンプ・プローブ実験を行った。(1)では、初期エミッタンスをレーザースポットサイズの関数として測定し、最小で0.054mm-mrad、初期電子の実効的温度54meVを得た。この初期エミッタンスは、コヒーレントX線の発生条件を満たす値である。(2)では、光ファイバーを用いた輸送系を構築した。次年度に行う予定の波形整形を施したレーザーパルスによる電子ビーム引き出し実験の準備が整った。(3)では、バルクGaAsを試料として、フェムト秒チタンサファイアレーザーによるキャリア生成と、これに伴う反射率の時間変化を測定すべく、ポンププローブ実験を行った。しかしながら、十分なS/Nが得られず有意なデータを取得するには到っていない。レーザーのアラインメント、チョッパーによるS/N向上を次年度に実施する予定である。また、250-kV電子銃において、エミッタンス測定を系統的に行えるように、光陰極の長寿命化に向けた対策を行った。原子状水素による陰極半導体の洗浄、化学洗浄などを試みた。また、真空容器のベーキング方法を改善した。
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