研究課題/領域番号 |
20360424
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
羽島 良一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, グループリーダー (30218432)
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研究分担者 |
永井 良治 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (40354906)
西森 信行 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (60354908)
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キーワード | 放射線、X線、粒子線 / 量子ビーム / 半導体物性 / 電子源 / 次世代光源 |
研究概要 |
エネルギー回収型リニアックに代表される先進電子加速器を用いた次世代X線・γ線光源の輝度、強度は電子源の性能(エミッタンス)に大きく依存する。われわれは、光陰極型DC電子銃において、電子ビームエミッタンスを格段に小さくする(輝度を大きくする)技術として電子パルスの波形整形に注目し、本研究課題においてこれに必要な技術開発を進めた。 本年度は、(1)250kV電子銃における電子ビーム波形およびエミッタンス計測システムの設置、(2)同システムを用いた磁気エミッタンス効果の測定とその補償方法の研究、(3)半導体基板の水素洗浄の条件最適化、(4)GaAs基板へのイオン注入の試みを行った。さらに、(5)超高輝度電子ビームにより実現可能となる次世代放射光源として、共振器型X線自由電子レーザー、レーザーコンプトンγ線源の設計を進めた。 (1)では、前年までに開発整備した電子ビーム波形測定用の偏向空洞、エミッタンス測定用のスリットと蛍光板、レーザー波形整形装置等の設置と調整、必要な真空排気を行った。 (2)では、同装置を用いた電子ビームエミッタンスの精密測定を行い、光陰極表面の磁場がエミッタンス増大をもたらす効果を検証し、その補償方法を求めた。 (3)では、イオン注入の効果を損なわないよう、従来の加熱洗浄に代わる水素洗浄のシステムを用いて、GaAs基板の表面洗浄と活性化を行い、洗浄条件の最適化を得た。 (4)では、GaAs光陰極時間応答性改善を目的とし、GaAs基板にヘリウムイオンを注入し、表面から深さ方向へ欠陥の非一様な分布を形成した。作成したGaAs基板の電子銃への装填と性能評価は東日本大震災で中断を余儀なくされたが、まもなく再開の予定である。 (5)では、これら次世代放射光源に必要な電子ビームパラメータを明らかにし、波形整形に基づく超高輝度電子ビーム発生技術が重要な貢献を果たすことを確認した。
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