研究概要 |
フォーカシング斜入射小角中性子散乱(Grazing Incidence Small-Angle Neutron Scattering, GISANS)測定の実現のために,今年度は湾曲楕円柱ミラーの開発とともに,後年に実施するGISANSテスト測定のモデル薄膜試料を調製するためのテフロン製トラフを購入し水面上に展開したヒュームドシリカの表面物性を評価した. 1)単独ミラー湾曲装置の開発 これまでの単独ミラーによる湾曲楕円柱ミラーの開発および特性評価測定では,ミラー反射面を垂直に配置することを想定して行ってきたが,今年度に北海道大学45MeV電子線形加速器施設で実施した中性子の集束特性実験により,垂直配置を想定したミラーの湾曲方式ではミラー反射面を水平下向きに配置した場合にミラーの自重のために湾曲を制御できないことが明らかになった.そのため,急遽,水平下向き配置に対応した専用の単独ミラー湾曲装置を試作し,J-PARCの反射率計ビームラインにおいて特性評価測定を実施し,良好な集束特性が得られることを確認した.また,垂直配置を想定した単独ミラー湾曲装置については,ミラーの湾曲自動化のための改造を行った. 2)モデル薄膜試料調製のための表面物性測定 後年に行うGISANSのテスト測定のためのモデル薄膜試料の調製に向け,次年度に予定していたテフロン製のLB膜累積用トラフ(アルテック)を前倒しで購入し,水面上に展開したヒュームドシリカの表面物性の評価を行った.また,スピンコート法により,ヒュームドシリカを混合した高分子薄膜の調製を試み,得られた薄膜の構造特性を評価した.
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