本研究では新規に開発した250℃域で駆動する化学蓄熱装置の高温プロセスシステムへのハイブリッド(複合)化を検討した。ハイブリッド化により熱入力・需要変動に対する追従性・効率性を高め高温プロセスのエネルギー効率を向上を目指した。申請者グループは従来困難であった250℃の中温域での蓄熱を可能とする酸化マグネシウムと酸化ニッケルなどの金属酸化物を混合した化学蓄熱材を開発し、その可能性を検討した。この化学蓄熱材を用いた化学蓄熱装置を実証開発し、高温プロセスにこの蓄熱システムをハイブリッド化し、熱入力・需要変動への高効率な追従を実現し、その省エネルギー効果を評価した。とくに今年度は化学蓄熱材料の製法を検討し、同力学的検討と、得られた蓄熱材料を用いた充填層反応器試験を重点的に行った。 材料の混合調製方法による反応速度の改善に可能性があり、より反応活性の高い材料への改良を進めた。蓄熱材料は混合水溶液から共沈法により得る。成分の混合比率、沈殿条件の最適化を進めた。得られた試料についで反応特性の反応動力学的解析を熱天秤にて行い、反応材料の化学的動特性を把握した。その結果、得られた混合材料はMgO単体の脱水反応(蓄熱)温度より低い温度で反応活性を有することが実証され、より低温排熱の回収が可能となり、ハイブリッドシステムの実用性を高めることが可能になった。ついで開発された混合反応性材料を用いて、10W級充填層型反応器を製作した。操作は排熱回収のための脱水反応、熱出力操作のための水和発熱反応からなる。種々の反応条件にて脱水、水和反応を行い、反応層の反応径時変化を観測した。得られた結果より、化学反応特性を解析し、化学蓄熱として蓄熱特性、熱出力特性を検討した。本検討より本提案が従来に対応事例が少ない中温域での熱利用に有効であることを示した。研究成果を雑誌論文として発表した。
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