本研究では新規に開発した250℃域で駆動する化学蓄熱装置の高温プロセスシステムへのハイブリッド(複合)化を検討した。ハイブリッド化により熱入力・需要変動に対する追従性・効率性を高め高温プロセスのエネルギー効率の向上を目指した。申請者グループは従来困難であった250℃域での蓄熱を可能とする化学蓄熱材を開発した。化学蓄熱は高密度、長時間貯蔵、広い操作温度域が利点である。この化学蓄熱材を用いた化学蓄熱装置を実証開発し、高温プロセスにこの蓄熱システムをハイブリッド化し、熱入力・需要変動への高効率な追従を実現し、その省エネルギー効果を評価した。平成20年度に材料調製の最適化と、充填層による化学蓄熱性能を測定した。今年度は化学蓄熱性能向上に重要な熱伝導性の向上の検討した。化学的、熱的に安定な高伝熱性材料と化学蓄熱材を複合した材料を調整し、反応動力学的検討を進めた。種々の調整条件を検討し、得られた試料について、熱天秤にて反応動力学的検討を行い、開発材料が従来の材料に比べ高伝熱性で反応性が高いことが示された。平行して酸化マグネシウムに対する/酸化ニッケル系以外の金属酸化物の組み合わせを検討し、得られた試料を用いた充填層試験を行い、化学蓄熱ハイブリッドシステムの規模を評価し、エンジンの初期暖気運転時の熱供給支援などへの利用が有効であると結論された。
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