研究概要 |
固体高分子形燃料電池中の高分子電解質膜内における水分分布を計測するために,近赤外レーザー光をシート状にするための光学系を設計・構築した.また,レーザーシート光が固体高分子形燃料電池内で遮蔽されることなく透過するように,燃料電池の改良を行った.さらに,燃料電池内を透過した近赤外レーザーシート光を検出するために,近赤外領域に感度を持つ一次元検出器アレイを準備した.これらにより,固体高分子形燃料電池中にある,不透明な電極の間に挟まれた高分子電解質膜を透過した近赤外光の光強度一次元空間分布を測定することに成功した.また,用いた近赤外光の波長(1470nm)に吸収帯を持つ水をガス化させ,ガス流路から燃料電池内に供給し,高分子電解質膜を加湿した際の近赤外光強度一次元分布を計測し,得られた結果から膜内一次元水分分布を予測した.得られた結果は,燃料電池の作動に伴う水の拡散を模擬したデータであると考えられ,燃料電池にとって重要な水分管理に関する知見が得られた.
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