研究課題
藍色細菌の生物時計分子装置(基本振動子)はKaiA、KaiB、KaiCの3つの時計タンパク質から構成されており、これらのタンパク質間の相互作用によって時間発振がなされている。kai時計遺伝子はkaiA遺伝子とkaiBCオペロンからなるkaiABC遺伝子クラスターを構成している。kaiBCオペロンはKaiAで促進され、KaiCで抑制される。時計への光入力系の1つを構成する時計関子遺伝子pexは時計の周期を伸ばす働きがあり、遺伝子破壊すると時計の周期が短くなり、kaiAオペロンの発現が促進される。逆に過剰発現すると周期は伸長し、kaiAオペロンの発現が抑制される。本研究では、PexがkaiA遺伝子の上流域に結合してkaiA遺伝子の発現を抑制するリプレッサーであることを証明した。また、X線結晶構造解析によって藍色細菌Anabaena sp. PCC 7120とSynechococcus sp. PCC 7942由来の二つのPexの原子構造を解明した。Pexはwinged-helix構造を持つホモ2量体であった。ゲルシフトアッセイ法によって、Pex結合部位としてkaiA遺伝子の上流域に存在する25-bpの最小塩基配列を同定した。決定したPexの原子構造に基づいて、DNAとの結合に関与すると思われるドメインとアミノ酸残基を推定し(Kurosawa et al., 2009, Genes Cells 14:1-16)、kaiA遺伝子の上流域への特異的DNA結合活性に関与すると思われるドメインのアミノ酸残基に一連の一アミノ酸残基置換変異を導入し、それぞれ試験管内でのDNA結合活性とin vivoリズム活性に及ぼす影響を解析し、そのアミノ残基の重要性を確認した。
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J Biol Chem. 284(In press)
Genes Cells 14
ページ: 387-395
Gene Dev. 22
ページ: 918-930
蛋白質核酸酵素 53
ページ: 1873-1880
http://www.gene,nagoya-u.ac.jp/~ishiura-g/index.html