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2010 年度 実績報告書

慢性低紫外線環境ストレスによるゲノム損傷応答と耐性機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20370002
研究機関大阪大学

研究代表者

菱田 卓  大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (60335388)

キーワードDNA修復 / DNA損傷トレランス / 突然変異 / 紫外線
研究概要

紫外線はDNA塩基損傷を引き起こす主要な環境要因であり、細胞死や突然変異などのゲノム不安定性増大の原因となることが知られている。本研究では、出芽酵母をモデル生物として、独自に作製した低線量の紫外線照射(CLUV)下で培養可能な装置を用い、慢性的なDNA損傷によって引き起こされる突然変異誘発の分子メカニズムに関して詳細に解析を行った。これまでの研究から、紫外線DNA損傷修復に関わるヌクレオチド除去修復の破壊株では突然変異頻度が劇的に上昇することを見いだしていたが、今回あらたに、この突然変異の誘発にはDNA損傷トレランス経路に属するDNAポリメラーゼζ及びηが関与していることを明らかにした。特に、DNAポリメラーゼηはこれまでの研究からDNA損傷による突然変異を抑える働きが知られていたが、本実験条件ではむしろ突然変異の誘発に関わっているという興味深い結果を得ることができた。CAN1レポーター遺伝子の前進突然変異検出系を用いた変異スペクトラム解析を行った結果、このポリメラーゼηによる突然変異の誘発は全てシトシンからチミンへのトランジション型変異であることがわかった。ピリミジンダイマー内のシトシン残基は脱アミノ化が非常に速く起こることが知られているが、実際、今回の慢性低紫外線環境ではゲノム上に多くのウラシル残基が蓄積していることを見いだした。したがって、DNAポリメラーゼηは脱アミノ化されたシトシン残基上を乗り越える際にグアニンではなくアデニンを挿入することで結果としてシトシンからチミンへの変異を誘発していると考えられる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Srs2 controls DNA damage checkpoint responses via two distinct homologous recombination functions in Saccharomyces cerevisiae.2010

    • 著者名/発表者名
      Hishida T., et al.
    • 雑誌名

      Mol.Cell.Biol.

      巻: 20 ページ: 4840-4850

    • 査読あり
  • [学会発表] 環境レベルの紫外線照射による突然変異の分子メカニズム2010

    • 著者名/発表者名
      春田奈美
    • 学会等名
      第33回に本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2010-12-11
  • [学会発表] Roles of TLS polymerases in CLUV-induced mutagenesis in NER-deficient cells2010

    • 著者名/発表者名
      春田奈美
    • 学会等名
      3R Symposium
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2010-10-28
  • [学会発表] 慢性的な低紫外線照射(CLUV)による突然変異誘導のメカニズム2010

    • 著者名/発表者名
      春田奈美
    • 学会等名
      第82回日本遺伝学会
    • 発表場所
      札幌
    • 年月日
      2010-09-22
  • [学会発表] DNA二重鎖切断修復に関与するSMC様蛋白質RecNの動態解析2010

    • 著者名/発表者名
      菱田卓
    • 学会等名
      第7回21世紀大腸菌研究会
    • 発表場所
      阿蘇(熊本)
    • 年月日
      2010-06-03

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公開日: 2012-07-19  

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