研究概要 |
スゴモリハダニ属およびその近縁属にみいだされた発展段階の多様な社会を対象として、それらが基本的に「複数種の天敵」との相互作用を通じて作用した自然選択によって生まれたとする仮説の妥当性を総合的に検証することを目指す。これまでにササ寄生性スゴモリハダニ属で得た知見の一般性を検証するために、より広く世界のスゴモリハダニ属および類似の営巣性を示す近縁グループに対象を広げ、「天敵-営巣性ハダニ相互作用系が必然的に社会進化を生む」という説が、マクロな分布の面からもサポートされるかどうかを検討する。具体的には、スゴモリハダニ属および熱帯タケ寄生およびカシ類寄生性の営巣性ハダニグループに注目し,それらにはどんな社会をもつ種が存在するのかを広く国内外で探索し行動等を分析する。特に、照葉樹林帯で社会の収斂進化を示唆する巣のサイズ変異現象を示す種と同所的発生天敵類を対象に、ササの研究で確立した社会行動解析法を適用して相互作用を分析し、異なる種、異なる地域、異なる寄主における「社会の収斂現象」の存在を探求する。また関連したこれまでの知見をまとめて英文で本を出版する。
|