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2010 年度 実績報告書

マメゾウムシと寄生蜂の記憶と学習を介した繁殖の適応戦略と個体群動態

研究課題

研究課題/領域番号 20370008
研究機関東京大学

研究代表者

嶋田 正和  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40178950)

キーワード寄生蜂の学習行動 / 寄生蜂と宿主2種の3者実験系 / スイッチング捕食 / 条件づけ / 3者系の持続性 / 交代振動
研究概要

嶋田と協力者の石井弓美子(東大・特任研究員)は、2種のマメゾウムシと寄生蜂ゾウムシコガネコバチを対象に、(i)行動実験、(ii)個体群動態の解析、(iii)連立差分方程式による数値シミュレーションのモデル解析を行った。
(i)一方の宿主マメゾウムシに連続寄生させて「条件づけ」した寄生蜂は、12時間の条件づけで明瞭な選好性の偏りが生じ、24時間~48時間で2倍~3倍もの顕著な選好性の差異が見られることが分かった。また、一方のマメゾウムシのアセトン抽出液を表面に塗布した豆に接近する録画解析から歩行軌跡を取得した。この時、録画解析から歩行軌跡を抽出するシステムを独自に開発し、その汎用性を確信した。その結果、条件づけされた寄生蜂は、一方のマメゾウムシのアセトン抽出液を塗布した豆に集中し、針刺し行動まで見せることが分かった。アセトンで抽出される物質を寄生蜂はカイロモンとして利用していることが分かった。
(ii)個体数動態の時系列データを使い、宿主各種の自己相関では4週間の世代周期が生じていることが分かった。さらに、寄生蜂の選好性と宿主各種のクロス相関を分析したところ、宿主各種の幼虫のステージの個体数に選好性が依存して高いクロス相関を示すことが分かった。ゾウムシコガネコバチは豆内のマメゾウムシ幼虫から出る匂い物質(カイロモン)を学習することが分かったので、累代実験系に2種のマメゾウムシ(ヨツモンマメゾウムシ・アズキゾウムシ)を導入すると、その時点での多数を占める方を好んで寄生するため、マメゾウムシ2種への頻度依存的なスイッチング捕食を示すことが分かった。ヨツモンマメゾウムシとアズキゾウムシは交替で逆位相の増減を繰り返すパターンが長期間見られた。
(iii)このような実験結果をもとに、寄生蜂の学習反応をシグモイド関数で表し、宿主2種-寄生蜂1種系を推移行列モデルの数値シュミレーションを解析した。その解析の結果、捕食圧が中程度のときに、宿主2種とゾウムシコガネコバチの3者系で持続性が最も長期化することが分かった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The effect of learning and search image on prey-predator interactions2010

    • 著者名/発表者名
      Ishii Y., Shimada M.
    • 雑誌名

      Popul.Ecol.

      巻: 52 ページ: 27-35

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Rapid adaptation : a new dimension of evolutionary perspective in ecology2010

    • 著者名/発表者名
      Shimada M., Ishii Y., Shibao
    • 雑誌名

      Popul.Ecol.

      巻: 52 ページ: 4-13

    • 査読あり
  • [学会発表] Olfactory search image and host-parasitoid dynamics2010

    • 著者名/発表者名
      Ishii Y. and Shimada M
    • 学会等名
      Japan-Netherlands Seminar on Parasitoid Biology
    • 発表場所
      東京大学駒場ファカルティハウス
    • 年月日
      2010-08-24
  • [備考]

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/shimada-lab/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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