研究課題
1)藻類の被食防衛形質の表現型可塑性が個体群動態に与える影響を調べることを目的として、イカダモとワムシを用いた被食-捕食実験系を確立した。捕食者カイロモンに対するイカダモの長期的反応を調べた結果、被食防衛形質の可塑性がクローン間で大きく異なることを明らかにした。2)タモロコ属魚類自然集団の摂餌形質の地理的変異を調査した。摂餌形質は生息環境と競争者の存在によって大きく変異することが明らかとなった。予備的な飼育実験により、タモロコ属魚類の摂餌形質には表現型可塑性がみられることが示された。3)タモロコ属魚類の摂餌形質多型の遺伝的背景を解明するゲノム科学的基盤として、本属のマイクロサテライト遺伝子座の大量単離を実施した。また、ホンモロコ、タモロコ、両種交雑個体の同所的分布域における形態的多様性を解析した。遊泳関連形質は両種の遺伝的成分の混合比を極めてよく反映したが、摂餌形質の一部は両種の遺伝的成分の保有量と相関しなかったことから、野外における摂餌形質変異には表現型可塑性が大きく関与していることが示唆された。4)捕食者の摂餌機能多様性が湖沼生態系の構造と機能に与える影響を明らかにするためにメソコスムを用いた予備実験を実施した。タモロコ属魚類の摂餌形質多様性を操作することによって、プランクトン群集の体サイズ構造と群集呼吸(生態系メタボリズム)が変化することを確認した。5)複雑な食物網の安定性と安定化機構を評価するために、食物網を3種からなる単純な栄養モジュールに分割し、バイオエナジティクスに基づいて変数化する数理モデルを構築した。さらに、帰無モデル解析によって食物網モデルの統計的有意性を検定する方法論を考案した。本モデルを沿岸食物網に適用した結果、栄養モジュールの内的および外的構造の相補的作用によって食物網が安定化することが示唆された。
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Biological Journal of the Linnean Society
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