表現型多型は原核生物から高等脊椎動物に至るあらゆる分類群に見られる普遍的生命現象である。表現型多型の分子発現機構は一部のモデル生物で解明されているものの、野外において表現型多型の発現を支配する環境要因や多型を維持するマクロな仕組みについての理解は進んでいない。また、被食防衛や摂餌形質の種内多型は被食者一捕食者間の相互作用を変化させることが知られているが、種内多型の存在が生物群集全体に及ぼす影響を実証的に示した研究は限られている。 本研究は、湖沼生態系を対象として、ミクロコスムおよびメソコスム実験システム内に湖沼生物群集を内包した小・中規模スケールの人工生態系を再現し、その一次生産者である微細藻類と高次消費者である魚類の表現型多型を操作することによって、群集動態ひいては生態系機能・安定性に与える影響を検証することを目的とする。
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