研究課題
食害が誘導するヤナギの再生長反応の強さが、ヤナギルリハムシの摂食選好性に与える進化的な影響を調べた。ヤナギルリハムシの成虫は、ヤナギの新葉に対して強い選好性をもつ。広域な野外調査から、この選好性の強さは地域個体群の間で有意に異なることがわかった。野外実験から、植食者群集の多様性が高いとき、食害に対するヤナギの再生長反応が強く生じ、それとともにハムシの新葉選好性が強くなることが明らかになった。同一環境条件下の食害実験では、ヤナギの再生長反応に地域間の違いはなく、植食者群集に依存した食害圧による表現型可塑性の可能性が示唆された。ハムシの個体群間変異の遺伝的背景として、選好性の強さは相加的な量的遺伝形質であること、個体群間で遺伝構造が異なること、新葉選好性が強いほど、新葉があれば産卵が促進され、成熟葉しかなければ産卵しなくなること、が明らかになった。圃場実験より、セイタカアワダチソウのクローン間で昆虫群集の構造が異なることがわかった。特に、吸汁性のセイタカアワダチソウヒゲナガアブラムシとアワダチソウグンバイがクローン間の群集の違いを生じさせていた。これらは、北米においてセイタカアワダチソウを寄主としている外来昆虫である。クローン間におけるアブラムシの個体数の違いによってテントウムシなどの捕食者や寄生者の種数と個体数が異なったことから、アブラムシのクローンに対する反応の違いが、群集の構造を決定している可能性が示唆された。このことから、植物の遺伝子型に依存した高さや葉数などの生産量の違いが外来昆虫のアブラムシの密度に影響し、その密度の違いが生物間相互作用ネットワークを介して群集構造に影響したと思われる。これらの結果は、植物上の間接相互作用網の形成メカニズムとその生物進化における意義を示唆するものとして、たいへん興味深い。
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