好適な時期に花を咲かせる仕組みの生態的・進化的機能を明らかにすることを目的として研究を行った。成長から開花への転換・再転換を、バーナリゼーション反応と日長反応をどのように統合して実現しているかを明らかにすること、繁殖への移行を決定するサイズがどのように感知されているのかを明らかにすることを目的として、本年度は、以下の調査・研究を行った。 1. 野外調査区の設定、環境測定、フェノロジー観測体制の整備:兵庫県中部の野外集団に永久調査区を設置し、約200個体について2006年4月より1週間ごとに成長、繁殖に関するパラメータを測定している。また、温度センサーを設置して気温・地温の継続測定を続けている。この測定を20年度中も継続した。 2. ハクサンハタザオにおけるシロイヌナズナ開花調節遺伝子群の相同遺伝子の配列決定:ハクサンハタザオFLCの全配列を決定し、mRNA定量に必要なプライマーを設計し、同遺伝子転写における定量を野外において継続的に行った。 3. 開花調節遺伝子群の多遺伝子同時定量法の確立:半定量的な手法で、複数の開花遺伝子群の同時定量を行い、これらの遺伝子の季節変動を明らかにした。 4. 栽培実験個体による開花調節遺伝子群の多遺伝子同時定量:温湿度・日長制御が可能な栽培用ファイトトロン(現有)を用いて、温度調節条件下で栽培した個体について遺伝子転写のデータを得た。これにより、遺伝子転写の温度依存性を検証した。
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