研究概要 |
AnPixJのGAFドメインの赤吸収型(Pr)の結晶構造を1.8Aの分解能で決定した。AnPixJはSyPixJ1/TePixJのホモログで、線毛調節にかかわるMCPドメインを持つが、色素結合ドメインはそれらとは異なる系統に属している。これに対応して、SyPixJ1/TePixJが青吸収型と緑色吸収型の間の可逆的変換を示すのに対し、AnPixJは赤吸収型(Pr)と緑色吸収型(Pg)の間の可逆的変換を示した。このAnPixJのPr型の立体構造はフィトクロムのPr型のフィコシアノビリンと同じ立体配座とコンフォメーション(C5-Z,syn,C10-Z,syn,C15-Z,anti)をとっていた。また、発色団の中央には、この仲間でのみ保存されたAsp残基の側鎖が各ピロール環に水素結合していた。この構造は、従来想定されてきたH2o分子による配位とは異なるしくみでテトラピロールの平面性を維持していることを示している。 (2)TePixJのGAFドメインの結晶化にも成功した。その構造の評価は進行中である。 (3)すでに緑色光受容体であることを報告済みであるSyCcaSのホモログNostocのNpCcaSが緑色光によってフィコエリスリンの形成に必要な遺伝子の発現誘導に必須であることを示した。 (4)TePixJの再構成実験を行い、フィコシアノビリンと混合することで、青色吸収型を形成できることを示した。しかし、その吸収特性は本来のTePixJとは異なること、発色団はまだフィコシアノビリンのままであった。この標品を高温でインキュベートすることで、徐々に本来の発色団であるフィコビオロビリンに変換され、同時に光変換の分光特性も本来の性質にほぼ同等のものになることを明らかにした。
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