研究課題
植物特有のRNAi関連遺伝子であるsuppressor of gene silencing3(SGS3)に焦点を当てた。シロイヌナズナSGS3の変異体は葉の形態が細くなるなどの異常を示し、さらに一部のウイルスに対し抵抗性が低下する。先行研究により、SGS3はウイルス由来のRNAや、内在性のTAS遺伝子を前駆体とするsmall RNAの生合成に関わり、そのsmall RNAのサイレンシング機能によって形態形成やウイルス防御に関与することが明らかになってきた。SGS3はRNA-dependent RNA polymerase 6(RDR6)と協働してsmall RNAを合成する。このSGS3とRDR6についての解析をおこなった。それぞれ細胞質中にドット状に存在すること、双方が共局在すること、さらに相互作用することが明らかとなった。このSGS3とRDR6が共局在して構成する構造はこれまで報告のあったmRNAの分解や貯蓄を担うRNAサイレンシングの場であるProcessing-body(P-body)とも異なった。ミトコンドリア、色素体などのオルガネラとも異なった。こうした新規な構造体であることからSGS3/RDR6-bodyと名付けた。AGO1-Flagを発現する形質転換体を用いて、免疫沈降法によりAGO1と結合するタンパク質の探索を継続した。免疫沈降によって得られたタンパク質群を電気泳動にかけ、特異的なタンパク質バンドを質量分析にかけた結果、3種類の候補タンパク質を検出している。そこで得られた部分配列から、シロイヌナズナのタンパク質3種類を同定した。これらの遺伝子のクローニングを行い、蛍光タンパク質と融合させた形で、アグロインフィルトレーション法を用いて植物体に発現させた。細胞内局在を蛍光顕微鏡で観察したところ、いずれのタンパク質ともに細胞質に存在する顆粒に局在がみとめられた。P-bodyマーカーであるDCP1との共発現について調べると、2つのAGO1相互作用タンパク質はDCP1と共局在する事が観察された。詳細に観察すると、完全に重なる局在を示すもの2種、一部重なるものが1種であった。
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