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2008 年度 実績報告書

気孔孔辺細胞における青色光シグナル伝達機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20370021
研究機関名古屋大学

研究代表者

木下 俊則  名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (50271101)

キーワード気孔 / 青色光 / フォトトロピン / プロトンポンプ / リン酸化 / シグナル伝達
研究概要

本研究では、気孔開閉のシグナル伝達の詳細な分子機構、特に、フォトトロピンにより受容された光シグナルがどうのようにしてH+-ATPaseの活性化を引き起こしているのかについて、生理・生化学的、分子遺伝学的手法を駆使し研究を進めてきた。
フォトトロピンの自己リン酸化部位の同定を行い、キナーゼドメイン中に存在するセリンの自己リン酸化が、その後のシグナル伝達に必須であることを見出した。
また、気孔開閉のシグナル伝達に関わる未知のシグナル伝達因子を同定するために、気孔開度に依存した葉の重量変動、青色光受容体フォトトロピンが仲介する反応の一つである葉の横伸展等を指標にしたシロイヌナズナの気孔開度変異体のスクリーニングを網羅的に進めてきた。
葉の重量変動を指標にしたスクリーニングでは、気孔が閉じているstd変異体2ラインと、気孔が顕著に開口しているftd変異体2ラインを単離した。このうち、ftd1と名付けた変異体は、常に気孔が大きく開口しており、気孔を閉じさせる植物ホルモン・アブシジン酸に対して非感受性に表現型を示す新奇の変異体であった。そこで、マッピングによる原因遺伝子の同定を進めた結果、アブシジン酸との結合能からアブシジン酸受容体として報告されているMg-キラターゼHサブユニットに新奇のミスセンス変異を持っていることが明らかとなった。
青色光受容体フォトトロピンが仲介する反応の一つである葉の横伸展を指標にしたスクリーニングでは、最終的に20株の気孔が顕著に開口し、葉が平らに伸展した変異体を単離した。これらのうち、db10-2と名付けた変異体の孔辺細胞では、細胞膜H+-ATPaseが常にリン酸化され活性化された状態にあるため気孔が顕著に開口した表現型を示すことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Blue light-induced autophoshporylation of phototropin is a primary step for signaling2008

    • 著者名/発表者名
      Inoue S, Kinoshita T, Matsumoto M, Nakayama K, Doi M, Shimazaki K.
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105

      ページ: 5626-5631

    • 査読あり
  • [学会発表] 気孔開度変異体scslの原因遺伝子同定と機能解析2009

    • 著者名/発表者名
      木下俊則, 森本小百合, 小野奈津子, 井上晋一郎, 中野雄司, 島崎研一郎
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-03-22
  • [学会発表] 気孔が顕著に開口したftd2変異体の原因遺伝子の同定と表現型の解析2009

    • 著者名/発表者名
      曽田翠, 島崎研一郎, 木下俊則
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-03-22
  • [学会発表] 細胞膜H+-ATPaseの活性調節に関わるプロテイン・ホスフアターゼの生化学的解析2009

    • 著者名/発表者名
      林優紀, 島崎研一郎, 木下俊則
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-03-22
  • [学会発表] 細胞膜H+-ATPaseの活性化に関わるリン酸化反応の解析2009

    • 著者名/発表者名
      中村英, 島崎研一郎, 木下俊則
    • 学会等名
      日本植物生理学会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-03-22
  • [学会発表] Storaatal opening and regulation of the plasma membrane H+-ATPase2008

    • 著者名/発表者名
      Toshinori Kinoshita
    • 学会等名
      2008 Japan-Switzerland Workshop
    • 発表場所
      奈良市
    • 年月日
      2008-10-08
  • [学会発表] 青色光による気孔開口と細胞膜H+-ATPaseの活性調節機構2008

    • 著者名/発表者名
      木下俊則, 島崎研一郎
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      2008-09-25
  • [学会発表] 葉の重量変動を指標にした気孔開度変異体の単離と原因遺伝子の同定2008

    • 著者名/発表者名
      曽田翠, 島崎研一郎, 木下俊則
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 発表場所
      高知大学
    • 年月日
      2008-09-25
  • [学会発表] 気孔孔辺細胞における青色光シグナル伝達系の解析2008

    • 著者名/発表者名
      木下俊則
    • 学会等名
      第8回日本光合成公開シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2008-05-30
  • [図書] ベーシックマスター植物生理学(第3章「光による制御」60-81ページを執筆)2009

    • 著者名/発表者名
      木下俊則
    • 総ページ数
      373
    • 出版者
      オーム社

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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