植物ペルオキシソームの新規機能を明らかにするために、機能未知のペルオキシソームタンパク質を網羅的に同定することを目指し、発芽大豆芽ばえ種子から高純度のペルオキシソーム単離法を確立した。この方法はPerco11及びiodixano1の密度勾配遠心を利用するもので、単離したペルオキシソーム画分には、各オルガネラ指標タンパク質が検出されないことから、他オルガネラの混入は検出限界以下であった。単離したペルオキシソーム画分を2次元のポリアクリルミドアミド電気泳動によって分離し単離したタンパク質のペプチドマスフィンガープリントを行い、ペプチドの質量分析により92個のタンパク質を同定し、更なる解析により30個のペルオキシソームタンパク質を同定した。これらのペルオキシソームタンパク質には脂質酸β-酸化系、光呼吸、ストレス耐性、トランスポーター等とともに、機能未知のタンパク質が含まれており、その解析を進めることにより、植物ペルオキシソームの新規機能を明らかにしょうとしている。 一方、植物の各組織におけるペルオキシソームの役割を明らかにするため、組織特異的に植物の形態異常が生じるペルオキシソーム形成因子制御変異株Pex10の解析を行った。Pex10制御変異株では葉の黄化や花器官の融合がみられるが、この現象はPex10抑制変異株ではワックスの合成が抑制されていることにより生じていることが判明し、ペルオキシソームがワックス合成に関与していることが初めて明らかとなった。Pex10の抑制がワックス合成にどのように関与しているかは今後に残された研究課題である。
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