申請者が新規に機能同定した染色体タンパク質であるヌクレオフォスミンを中心に、染色体微細構造におけるin vivo機能解析を実施した。特定の波長を持つ光を照射することにより活性酸素を発生する光活性化タンパク質を用いて、微細構造特異的に染色体タンパク質を機能阻害し、その相互作用を時空間的に明らかにした。 ライブセルイメージング顕微システムに本申請で備品として購入し、2波長励起光源システムを装着した顕微システムを構築した。このシステムを用いて光誘導によるタンパク質機能阻害を実施した。 前期、前中期、中期に相当する染色体を見つけ、GFP-染色体マーカーを指標にして、染色体微細構造領域に存在するKillerRed融合タンパク質に波長540-580nmの強い緑色光を照射した。この通常の観察時に用いる緑色光よりも強い緑色光をKillerRed局在部位に照射させることで、KillerRedからROSが発生して、微細構造特異的なタンパク質機能阻害されることを確認した。KillerRed融合タンパク質が単独で発現している染色体であっても、この機能阻害は達成可能であるが、KillerRed観察も緑色光のために、数秒の観察時間でもあってもROSを発生させて細胞に毒性が生じる危険があった。そこで、この問題を解決するために、緑色光照射位置の特定や細胞観察には青色光で励起されるGFP融合タンパク質を染色体マーカーとして導入して共発現させる工夫を行った。GFP標識マーカーはKillerRedによる機能阻害後に、染色体構造変化を解析する指標としても活用し、ライブセルイメージングの結果・染色体タンパク質を阻害することで分裂期の遅延を誘導することができた。
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