染色体微細構造において機能するタンパク質のin vivo機能解析をライブイメージングと光刺激の融合技術により実施した。特定の波長を持つ光を照射することにより活性酸素ROSを発生する光活性化タンパク質を用いて、微細構造特異的に染色体タンパク質を機能阻害し、その相互作用を時空間的に明らかにすることを目的として、研究を遂行した。昨年度明らかになった染色体動態に重要な役割を果たすRNA結合タンパク質にキラーレッドタンパク質を融合させて発現させた。光刺激システムを工夫して構築し、細胞周期特異的にRNA結合タンパク質を阻害させることに成功した。その結果、キラーレッドから放出されたROSがDNA損傷を引き起こすことがわかり、S/G2期チェックポイントが活性化され、特異的にS期の細胞が蓄積することは判明した。これにより、光誘導タンパク質機能阻害法を用いて、染色体形成初期の微細構造構築に寄与するタンパク質機能を同定することができた。この研究成果により、ROSを発生する光活性化タンパク質を用いた光誘導タンパク質機能阻害法を確立すると共に、細胞周期や染色体構築を制御するタンパク質の機能解析に新しい方法を開拓した。特に、今回、機能同定したRNA結合タンパク質は従来のRNAi法やノックアウト法では機能を特定することが困難なタンパク質であったが、ライブイメージングと光刺激の融合した本開発技術により、特定することができた。また、同時にRNA結合タンパク質のドメイン解析も実施し、RNA結合ドメイン、システインリッチドメインの特性を共焦点レーザー顕微鏡を用いたFRAP解析によって明らかにした。この解析によりシステインリッチドメインが核内のタンパク質動態に重要な役割を果たすことが分かった。
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